2015年5月20日水曜日

石見グランフォンド2015 その9(完)

西の原で記念撮影を済ませ、右折して北の原方面へ向かう。
まもなく正面に壁のような坂が現れた。
これは絶望的じゃないか・・・・



我ながらいいカット。
昨年感じた絶望感を写真に落とし込みたいと機をうかがっていたのだ。
コンデジなのだけど、望遠による圧縮効果がうまいこと出てくれた♪


しかし、上っても上っても坂だ。
逃げても逃げてもその先に敵が現れる、ソロシップのよう。
おかもっちさんは先刻から「ケツが痛くて割れそう」と連発している。



走っても走っても坂が現れる。
このGFのコース考えた人って、ほんまどんだけ坂好きやのん?



意を決して、壁に取り付いていく、ちっぽけなライダーたち。
みな最後の力を振り絞っている。
いくつかの九十九折りを越え、坂が終わる。


標高約590メートル。今回のコースの最高地点を過ぎる。


とろとろと下って、北の原の三瓶バーガー前へ。
178キロ地点。第7CP。ここが最後のCPだ。
時間は午後455分ごろか。
ああ、よう頑張った。


撮影・ken2さん

ken2さんは早々と到着していたみたい。
20分は待たせたようで。
昨年はぼろぼろだった三瓶の上りだけど、今年は出し切ったようだ。
100人ぐらい抜かしたかも」と実に満足げだ。


STRAVAによると、ken2さんは役場から消防署までが2837秒!という3位の記録をマークしていた。
ちなみわしはこの日のタイムが4128秒。
昨年より7分も遅かったのだった。


栄光のコーヒーゼリーいただきます。
とにかくお疲れでした!



まもなくウメさんも到着。
MCRTBCカルテットがそろい、記念撮影。やりましたね。

提供・ken2さん

あとは下るだけ!
ウメさんはもう少し休むとおっしゃるので、ここからは3人でダウンヒルだ。
おかもっちさんは、久々に再会した知人と話の花が咲いていて、一緒に走るみたい。


残り22キロはほぼ下り。
今まで貯めに貯めた位置エネルギーを一気に吐き出す。
ウインドブレイカーは着たのだけど、風が冷たい。
日向にでると太陽の暖かさを実感するくらい。
と、おもかもっちさんのバイクから黒い物体が外れた。
避けるまもなく、乗り上げてしまったがハンドルを取られることはなかった。
ken2さんと必死に呼びかけるが、おかもっちさんは馬耳東風でピューっと下っていった。
「お~~い、一緒に走るんじゃないんかい」
と言っても聞こえるはずもなく。


自転車を停めて確認すると、フロントライトだったみたい。
「壊れてますよ~」とken2さん。やってしまったかも。でも不可抗力だよね。
再び下り始めたわしたち。
しばらくすると、ken2さんが「寒い。なんか着るものありませんか」という。
ちょっと考える。
と、あったよ、いいものが。
今回のコース図だ。
これを腹にまけば風除けになる。


われながら、実にいいひらめきだったと自画自賛である。
わしも寒気がしてきたのでハンドルに巻いたネックゲイターを初めて首に巻き、口元まで覆う。
思わず「あったかいんだから~」と歌いたくなった。
一枚首元に巻くだけでこうまで違うとは。
みなさん是非お試しください!


再びダウンヒルを始めるわしたち。
ken2さんは「これは違いますよ」と満足したご様子だ。


三瓶ダムの横を通り、三瓶川沿いの快走ロードを下る。
高度が下がるにつれて、気温が上がっていくのが分かる。
夕暮れの大田の町を目指して、ペダルを回していく。
一日がかりの旅ももうすぐ終わりだ。
今振り返ると寂しさを感じるが、この時は安堵感だけだった。
ようやく終わる、と。


大田の街中に入る。
この時間でも、沿道に人がいて、頑張れよ!って声をかけてくれた。
これもうれしかった。「ただいま」って思って、うれしかった。


ゴール直前でようやくおかもっちを捕捉。
「え、壊れたん?また新しいライト買ってもらおう」と全く暢気な父さんである。


夕暮れの久手海岸に着いた。
すでに多くの参加者でにぎわっている。
わしたちも午前715分に出発したあの青色のバルーンアーチをくぐり抜けた。
午後555分。
出発から約10時間40分。
走行時間8時間5434秒、平均時速22.4キロ。
200キロの小さな旅は終わった。
わしたちの旅は終わった。
まもなく、TBCのウメさんもゴールに滑り込んだ。
よかった。お疲れ様です。
おかもっちさん、ken2さんと記念撮影。
よかったなあ。



完走証をもらい、ソーメンをすする。
一心地付いた。


何も分からず夢中で走った昨年。
チームとしての完走を狙い、チームで走った今年。
それぞれにそれぞれの面白さがあり、難しさがあった。
ただうれしかったのは、ken2さんに加えて、今年はおかもっちさんとも一緒にゴールできたことだ。
参加を薦めた手前、なんとかゴールまで連れて帰りたいと心中期していただけに、夢がかなって一安心した。
たとえ、ケツが割れても、あきらめずに走って本当によかった。
もっとも最後はそんなこと考えんでも大丈夫だったみたいだけど(^_^;)

撮影・ken2さん

大会を主催したNPO法人サイクリストビューのみなさま、今回も楽しい旅をありがとうございました。
おかもっちさん、ken2さん、ウメさんをはじめ一緒に走ってくれた仲間たち、ありがとう。
沿道で応援してくれたみなさん、本当にありがとう。
石見グランフォンドは本当に素晴らしい大会でした。
ありがとう。本当にいい一日でした。




さあ、次はどこへ走ろうか。



おわり

2015年5月19日火曜日

石見グランフォンド2015 その8

なんとか制限時間の20分前に、関門の粕淵に到着したわしたち。
サインを済ませ、さっそく補給だ。





おこわをモグモグしていると、スタッフが「締め切りまであと10分ですよ~~」と急かすこと、急かすこと。
ゆっくり食べさしてほしいのに。しょうがない。
おこわをかきこんで、手早くトイレをして、さあ出発だ!


と、ken2さんがTBCの人に荷物を預けている。
軽量化して、山に上る気らしい。
そして「お先です!」と言い残し、おかもっちさんとスタートしてしまった。




Ken2さんはここから本気モードに入ったようだ。
今までためにためてきた足をここで爆発させるつもりだろう。
ヘロヘロになって、わしについてきた昨年とはえらい違いだ。
成長したな。もはや別人だ。




カヌーの里から橋を渡り、粕淵の街中に入る。
わしも二人を追うが、信号に引っかかって追いつけない。
まもなく見えなくなってしまった。


無理に脚を使ってもしょうがないので、マイペースで進む。
トンネルを抜け、左折すると三瓶への上り坂が現れる。


さあ、上るぞ!
西の原まで7キロで約400メートル上がる長い坂だ。
前半は5%前後の見通しのいいなだらかなカーブが続く。
後半の温泉街に入る最後の1キロが、10%前後のキツイ坂になる。



前半のなだらかな坂で、いかに心を折らずに上れるかがポイントかなあ。
とは言ってもぐいぐいダンシングするわけでもなく、シッティングでじわじわと上るだけ。
巨大な坂をアリのように這って上るだけ。
ま、そのうちなんとかなるでしょー!


後ろから気持ち速めの二人組みが上ってきた。
いいペースなので乗っかることにする。
抜かされるのを待って、後ろにつく。
同じペースでじわじわと進む。


風があるとはいえ、上りなので風除けにはならないが、前に目標があるだけで違う。
何人か抜かすうちに同じ赤・黒・白のMCRジャージが見えてきた。
おかもっちさんだ。
合流して、足を緩める。
ここからは一緒に上る。
ま、抜かしていくこともできたんだけどね。
せっかくのチームだしね。
一緒に走んないとね。
別にしんどいからじゃないからね。
そう。別にね。




聞いたらken2さんは早々と先に消えていったとのこと。
きっと溜まっていたのだろうね~~。
われわれという鎖から解き放たれて、今ごろ思う存分走る自由を謳歌しているのだろう。




後ろのギアを1枚残して、だらだらと坂を上る。
日はすでに天頂からずり落ち、やわらかくわしたちを照らす。





ようやくダラダラ坂終了。
信号で一息ついているおかもっちさんに「ここからが本番だよ」と脅す。



左へ曲がって温泉街へ。坂がきつい。
しばらく我慢の時が続く。
ようやく街に入った。


わずかな平坦があり、きのう入浴した「鶴の湯」が右手に見えた。
「ここが温泉だよ」とおかもっちさんに説明するが、どこまで耳に入っていたか。





しかし、すぐまた急坂だ。
足で走ったほうが速いような遅さで、じりじりと上る。
時折、休むダンシングを入れるが、脚力が限界のせいか長くは続かない。
消防署を右手に見て、ホテルを見て、ようやく長い坂が終わった。


やった!
ここからは緑陰の中を走る爽やかな高原道路だ。
そして、道の先に広々とした草原が見えてきた。
お待たせ。西の原だ。








草原、そして三瓶山!
もうむちゃくちゃ気持ちいい。
夕方の風は爽やかを通り越して肌寒いくらいだ。
右手の草原では連凧を飛ばしている。いいなあ。





提供・サイクリストビュー

先を急ぎたい気持ちがあるけど、おかもっちさんに声をかけてストップ。
二人で写真を撮ってもらった。
やあ、いい笑顔だわ。
おかもっちは余裕がなくて、顔がひきつっていたらしいけど(^_^;)



さあ、まだ坂は残っている。
「ここからが大変なんじゃけゑ!」
おかもっちさんにカツを入れる。
最後のCPがある北の原への最後の上りが待っているのだ。


つづく



2015年5月18日月曜日

石見グランフォンド2015 その7

はすみ文化プラザを出発したわれらMCRTBC混成カルテット。
ウメさんによると「ここからの戸河内峠が厳しいです」とのこと。
そういえば昨年、カエル坂の後に坂を下った気もするなあ。
周囲の人も「ギザギザ坂」とか「Z坂」とか言ってるし(^_^;)



STRAVAによると、2.7キロで188メートル上る。斜度は7%。
サラ足ならなんてことはない(はず)の坂だが。



だが。
だが暑いッ!
暑いのぢゃ!




太陽は天空高くにいたり、光をさえぎるものはなし。
ハアハアペースのはずなのに、息はゼエゼエ。
頭もボーっとする。足が動かんわい。
でもここで足は止められない。
足を止めたらそれこそ「じゃあ、私たち何のために走ってきたの!?
ってことになる。
「男の戦い」はつづく。



ken2さん、おかもっちさんはスルスルと前へ。
あれれ?
ウメさんも前へ。




ありゃりゃ。
ちょっと待ってくれ~~い!



提供・サイクリストビュー

提供・サイクリストビュー

と、いう内心はそういう情けない場面なのですが、実にかっこいい写真をありがとうございました!




ボロボロになりながらなんとか切り通しのピークに到着。
あああ、づかれだ。


撮影・ken2さん

こりゃ、やばい。
おかもっちをケアするどころじゃないわ。
まず自分をなんとかしないと。


あへ~~

ここから第6CPの粕淵までの約40キロは、ほぼ下りないし平坦基調。
ここで回復しないと。
ということで後ろ目の付き位置で休ませてもらうことに。







おや?一瞬だけ「天空の駅」が見えた。
そうだった昨年はあの下を通過したのだった。
すごいぞ。あの駅は本当にあったんだ。





下り区間を終え、江の川沿いに出る。
ここからはほぼ平坦だ。
足もちょっとは休まった。


右岸から左岸へと渡る。
ここへ来て、新たなモンスターがわしらパーティーの前に立ちはだかった。
風だ。
向かい風だ。


撮影・ken2さん


道端の幟がけっこうはためいている。
逆風は体力を削るが、心も削る。
単独ライドだと凹む。
だが今は心強いパーティーがいる。
ken2さんとわしが中心になって先頭交代しながら、進んでいく。



江の川沿いを進んでいく。
前にいいグループがいると、つかしてもらって、ちょっと足を休める。
そして、前に出て行く。
時折、サポートバイクが回ってきてくれて粕淵までの距離と午後335分の関門タイムまでの残り時間を教えてくれる。
距離は減らないのに、時間ばかり減っている気が。


風がさらに強い。
下ハン持ってもがくしかない。
25キロで大丈夫だよね」
ken2さんと確認しながら回す。

橋を渡り、再び右岸に戻る。
この辺りまでくると、ほかの集団と一緒になって、大集団になった。
ペースが合いそうな人を見つけてフォローする。

ふと、前を走っていた、おかもっちが右手をくいくいと動かし「前に出ろ」という。
「ん?どうしたん?」
「いや前の人が汗臭くて・・・」
「・・・」


って、わしが被害者の場合はええんかい!
ほんとにこの男はもう(^_^;)


撮影・ken2さん

午後315分、わしたちは第6CP160キロ)の粕淵カヌーの里に滑り込んだ。
三瓶制限時間の20分前だ。
どうにか間に合った。
昨年より10分遅いが間に合った。
ことしもこれで三瓶に上れる!



つづく