2016年6月29日水曜日

BRM702岩国400キロ走ります!

この週末、400キロを走ろうと思う。


AJ広島主催のBRM702岩国400キロである。
岩国を出て、山口県を東西に縦断し、角島灯台にタッチして、また岩国に戻るというコースなのだ。
出発は7月2日午前8時、岩国市由宇町のみなとオアシスゆう。
翌3日の午前11時までに戻ってくればいい。
制限時間は27時間。
時速15キロの旅である。


早いもので、わしもこの7月2日に50歳を迎える。
ならば記念すべき半世紀の誕生日を鞍上で迎えるのも楽しいではないか。
そう思ったのだった。
そう思いますよね。当然。いや普通。


と、いうわけでこんな新兵器を導入してみたり。




散髪に行って軽量化してみたり。


ミコトイカライドでタイヤがサイドカットしていたので、新タイヤ履かせて、休みの日はぼちぼち走ってみたり。


聖湖にキャンプに行って火遊びしてみたり。



あ、自転車通勤も続けていますわ。


ともあれ、先月のミコトイカ以降はそんな1カ月を過ごしていたのでした。


幸い今のところ、7月2、3の両日の天気予報は曇り。
ぜひとも、このまま持ってほしいなあ。


300キロは昨年の日御碕を完走したけど、400は初体験。
相棒のケーキさんと一緒に制限時間内の完走目指してきます。
角島の風景、楽しみやなあ。


400キロの旅、さあ、ゆるゆると走ろうか。


あ、でも天候次第ではDNSもあるかも(^_^;)

2016年6月11日土曜日

須佐のミコトイカが食いたイカ!? その3(完)


午後4時半、166キロ地点。
まだ50キロ以上走らないといけない。
しかも大部分が、西中国山地の核心部ともいえる山岳地域だ。
通常なら国道488号をそのまま進み、裏匹見というとんでもないところを走ると、吉和に抜けられる。
だが、この道は落石がひどく、通行止めになって久しい。
そこで今回はOKB師匠おすすめの三坂八郎林道を走る。
初めての道だ。
匹見の集落を離れ、県道42号を紙祖川沿いにさかのぼる。




日が傾き始めた。
場所によっては完全に日陰になる。
気ばかり急くけど、体はゆっくりしたがる。
売り切れ状態の足は勢いよく回されたり、力強く踏まれたりすることを拒否している。
お二人はいいペースでくつわを並べて先行している。
わしはマイペースでいかせてもらいます。
ブレーキになっちゃったね。すんません。
申し訳ない気持ちと寂しさが胸を満たす。


でも、足を回すしかない。
前を向いて進むしかない。
だれも迎えに来てはくれないから。





かつて渓流釣りで訪れたことのある道を今は自転車で走っている。
いい渓流だ。
釣れた記憶はないけどね。
道は思い出したように、やたら立派なトンネルがあったりする。
トンネルは走っていると、センサーでもあるのか、天井のライトが付く。
なんか無駄に金を使っている感満載。




周囲がちょっと開けてきた。
小さな集落だ。
先が見通せるけど、先には誰も見えない。


約10キロ走って、林道入り口に架かる橋に着いた。
お二人が待っている姿がシルエットで見える。




お待たせでした。
時間は午後5時過ぎ。


いよいよ本日のラスボス三坂八郎さんのオンステージである。
ほぼ1車線の林道は、それなりに荒れていてるが、舗装はしっかりしているので、ロードで十分走れる。
入り口付近の標高は約490メートル。
ピークは1000メートルを超す。
延々上ること7キロ、標高差500メートルを超すヒルクライムである。
170キロ走ってきた足には実に応える。




二人の姿はすぐに、道の先に吸い込まれていった。


わし一人淡々と上る。
聞こえるのは、渓流のせせらぎ、鳥の歌、木々のざわめき。
わしの呼吸音、チェーンの音。


上り始めてから15分たったころ。
それは突然に降臨した。
ビキッ。
電撃が走る。
足の筋肉が固まる。
そう、ここ最近すっかりおなじみになった足つり神様である。



足が動かない。
シューズをペダルから外して足をつく。


例の漢方を服用し、しばし休む。
レッグカバーが塩を吹いている。



結構、上ってきたな。
でも、まだ坂道は続いている。
走らなきゃ。
再び漕ぎ始める。
足に負担をかけないように、ゆっくりと回していく。
10分ほど進んだか。
ビキッ!
また来た!
またつった!
2回目来ました!


また足を着く。
連続して漢方飲んでもあかんし。
休んでいても、しょうがない。
少しでも前進しよう。
歩いているうちに足も回復するだろう。
つった足を引きずって、ウノさんを押す。


5分ぐらい進んだか。
再びウノさんにまたがり、ゆっくりと走り出す。
歩くよりは速い。


8分ほど上ったところで。
ビキっ!
3回目いただきました!
またまた押し歩きである。
ゆるゆるとウノさんを押し歩いていると、珍しく軽自動車が上ってきた。
若い男性が「山越えるんですか?大丈夫ですか」と心配そうに聞いてくれる。
心遣いがありがたいなあ。素直にうれしい。
足はつるけど、心はまだくじけていない。
「ありがとう。前に二人ほどいるので、ゆっくり上ります、と伝えてください」と伝言をお願いした。
「分かりました」とさわやかに去っていく彼。
なんか元気もらったよ。


またウノさんにまたがり、進み始める。
またまた8分ほど進み、傾斜がきつくなってきたところで、またビキっ!
これで4回目。
もうわしボロボロだわ。
心に元気をもらっても、体は言うことを聞かないか。
3分ほど押し歩きして、またウノさんに乗る。


と、頭上から「お~~~い、あと少し~~」という声が。
振り仰ぐと、右手のはるか上のほうで手を振っている二人の姿が。
「あそこまで上るのか」と、半分げんなりしながら、やる気も出る。
最後の力を振り絞り、最後の坂を上る。
二人が見えた。
最後だけ頑張ってダンシングして気張る。(心の中だけ)


着いた~~~。
標高1000メートルオーバー。
三坂八郎林道のピークである。


出し切った~~。
普段はピークでも休まず走る派だけど。
もう、だめ。
思わず寝ころぶ。



つかれたわ~~。
足の緊張感がなくなったので、またビキビキとつりそうになる。
起き上がるのも一苦労である。


お二人様、本当にお待たせしました。
ちなみに先ほどの若者に託したメッセージは無事二人のもとに届いたようで。
どうもありがとうございました!

広島県側へ抜けるトンネルを前にポーズ。




そしてどうですか。
出し切った男のさわやかな表情は。


午後6時過ぎ。
日が落ちてきた。




今からは吉和へのダウンヒル。
わしはウインドブレーカーを羽織った。
これは正解だったな。


真っ暗なトンネルを抜け、県境を越えると広島県。
吉和の中津谷川の上流に出るのだ。
薄暗くなってきた林道を快調に飛ばす。




三坂八郎林道から八郎川沿いに出る。
八郎杉で知られる植林地帯だ。
渓流には倒木がバタバタと倒れ込んでいる。
台風とかで倒れたのかな。
これは釣りづらそうだなあ。


日が沈んだ谷筋。
空気が冷え込んできた。
山の気候は違うわ。


八郎川から中津谷川の本流に出合う。
国道とは名ばかりの酷道488号に出た。
中津谷川に沿って、吉和へ下っていく。
この道は、路面に細かい落石が多い。
風化した花こう岩なので、端がとがっている。
下手に踏むと、一発サイドカットでパンクである。
さらに山際から染み出した水で、路面が濡れている。
いつもより慎重に路面を選びながら走る。


渓流釣りで何度も通った道なので、風景に見覚えがあるのが安心材料だ。
ただロードバイクでは初めて。
車とは違って路面状況によりシビアになる。


毛バリ釣り専用区のある小川川の出合いを過ぎる。
左岸から右岸へ橋を渡る。
植林の森の中を通る。
道が2車線になり、周囲が明るくなる。




ようやく吉和に着いた。
空気がむわっと暖かさを増す。
国道186号に合流した。
お二人とも合流する。
上着なしなので寒かったようでした。
三坂八郎トンネルから延々と13キロ、実に30分以上下り続けたことになる。
上りもハードだが、下りもハード。
三坂八郎さんは実にラスボスにふさわしい巨人であった。
参りました。




吉和のまちへ下っていく。
後は戸河内までほぼ下りだ。
吉和ICから小さな上り返しがある。
ピークを過ぎた。
筒賀へ下る。


ここで、うちのGPSサイコンが、電池がなくなったと文句を言い始めた。
CATEYEのステルス50という機種だが、電池の持ちが悪いのが弱点なのだ。
休憩時にモバイルバッテリーで継ぎ足し充電したきたのだが、不十分だった。
もうこの子いやだ。
道端に止まって、5分ばかり緊急充電する。
どうにか使えそうになったので、再び下り出す。
辺りはすっかり薄暗くなっている。
2灯付けフロントライトが闇を切り裂く。
顔に虫がバシバシとぶつかる。
夕方だからね。
一番、羽化する時間だ。
最近使い始めたオークリーのFLAKジャケットのおかげで、目は大丈夫と思っていたら、しつこい奴が右目の中に。
えええい、うっとうしい。
しばしばやっていたら、涙とともに流れ出たようだ。
違和感がなくなった。
吉和から延々下り続けてこれまた約30分。


午後7時半。
ようやく戸河内に戻ってこれた。
疲れたよ。
セブンイレブンの前でお二人が手を振っている。
お待たせしました!
コーヒー飲んで一服。うまいっ。


計218キロ、12時間の旅。
自分にとって実にハードで、実にチャレンジングな旅だった。
剛脚の二人の走りを、間近で見られたのも大きな収穫だった。
ただ途中でちぎれてしまって、最後まで付いていけなかったのが残念で悔しくて、本当に申し訳なかったです。
足、引っぱちゃいましたね。
次はついていけるように・・・と簡単には言えないのがつらいところだが(^_^;)


ただ、5月7日の浜田往還、15日の石見グランフォンド、21日のミコトイカと、3週続けて200キロオーバーを走れたのも、ちょっとした自信につながった。
2年前に初めて浜田往還を走った夜は、食事が満足にのどを通らなかったが、最近はそんなこともなくなった。
200キロを走る体が徐々にできてきたということか。
その割には毎回、足をつっている現実もあるわけだが。
相棒のケーキさんからは「ようOKBさんらと走る気になったね」とあきられたけど、でもやってみたかったんだもん。
OKBさん、キャニオンさん、楽しい一日を本当にありがとうございました。
これに懲りずにまた一緒に走ってやってくださいませ。


というわけで本日の一句。

イカからの 三坂八郎 ゲッソりで



お粗末でした。


さあ、次はどこへ走ろうか。

おわり。