2016年9月22日木曜日

BRM902岩国600キロ その9


午後7時前。
夕暮れのローソン美祢IC店の駐車場から、美祢の工場群を望む。
人工の美しさと醜さ、天然の美しさとが入り混じった、得難い風景だ。
このカウンターがありがたい。

30分ほど休んだので出発する。
ここでもお尻にワセリン塗り塗りした気がする。
そんなこんなで時間がかかったのだ。

東へ。
ここからは山口市へ向かう道だ。
美東町までは穏やかな丘陵地帯を行く。
途中までは一緒だったが、次第にガチオ君に離されていく。
やがて一人旅になった。
足が違い過ぎるということか。

ただ無理してもしょうがないので、淡々と進むしかない。
わしに走れるペースでいくしかない。
夜の道は目印もなく、ただただeTrexさまの導きに従うだけだ。
ガチオ君はキューシートだけで走っているけど、大丈夫かなあ。

いくつかの交差点を過ぎ、美東から山口へ抜ける国道435号の大峠への道に差し掛かる。
相変わらずガチオ君はいない。
だらだらとした上り、そして時折現れるトンネル。
前回の400キロは、この上りでアドレナリンが出まくっていたのだろう。
あっという間に過ぎ去った。
しかし今回はそんなことなく、時間は刻々として遅々として歩んでいく。

あれ?前に自転車が。
ほかのランドヌールが。
確か美祢のコンビニでもお会いした人だ。

声を掛けて抜かす。
あ、貧脚オヤジのわしでも時には抜かせることがあるのね。
「先に行った人がいませんでしたか」と尋ねる。
「ちょっと前に行きましたよ」とおっしゃる。
よかった。
ガチオ君、ミスコースせずに上っているんだね。
安心した。

とはいっても、わしのペースが上がる訳でもなく、よれよれと上っていく。
後ろを振り返ると、誰も見えなくなっていた。
ちょっとした優越感。ほんま自己満足だ。
とはいっても、またどっかで抜かされるのだけどね

どれくらい上っただろう。
自作キューシートのデータによると標高300メートルに達したぐらい。
ようやく鳳翩山トンネルの入り口が現れた。
ようやくピークだ。
長いトンネルを抜ける。

お!ガチオ君。
大変、大変お待たせしました。
こっからはダウンヒル祭り。
さあ、下りましょう。

というわけで、大峠のダウンヒルに突入する。
眼下に山口盆地の夜景が広がる。
わしとしては、いいペースで下っているのだが、ガチオ君はさらに速い。
うひゃあ。
後ろからくる車をパスしながら下っていく。
夜間とはいえ、前回のブルべで見慣れた風景だ。
安心感がある。

山口市吉敷に下りる。
ガチオ君が待ってくれていた。
ありがとう。
一緒に行きますか。
国道9号バイパスに出る。
前回のブルべでも休んだセブンイレブンで補給する。
378キロ地点、午後8時46分。


バナナもぐもぐ

補給して再出発した。
本格的な山岳区間に入る前に仮眠を取ることにする。
ちょろっと走って、ガチオ君と県庁前のバス停に滑り込む。
午後9時16分に到着。

さすがにこの時間なら一般の利用客は誰もいない。
バス停といっても、四方が囲まれたちゃんとした建物だ。
ベンチがあり、本当に素晴らしい場所でした。
タイマーを15分ぐらいにセットして休む。
長く休むと、脚が固まるから。
目をつぶる。息を整える。
あっという間にタイマーが鳴る。
早い、早いよ。
ごそごそと起き出す。
結局、20分ほど休んでいた。
午後9時半過ぎ。
これから夜はいよいよ深く、山も深さを増す。
正念場だな。

9号バイパスを東へと走り出す。
山口県立大を左手に見ながら進んでいく。
交差点を二段階右折して、国道376号を仁保方面に進む。

周囲から街の明かりが消え、夜の闇に包まれる。
仁保地峠を越え、仁保の道の駅の前を過ぎる。
荷卸峠にかかる。
上りが始まると、ここでもガチオ君との距離が開き始める。
いったん頑張って追いつく。
峠を越えると、まもなく次のPCだ。
「徳地のPCで待っていて」と声をかける。
再び引き離されていくわし。
淡々と走る。

300キロを超えたころから、左足のアキレス腱が痛くなってきた。
足首に力が入らないように、太ももを引き上げる感覚でペダルを回していく。
そうすると痛くない。
前半は不要な力が入っていたのだろう。
長距離時のペダリングは奥が深い。難しい。

それと、荷卸峠の上りあたりから心拍数が上がりにくくなった。
それなりに頑張ってはいるのだが、上りなのにおおむね110台。
高くても120台にしかならない。
疲れの限界を超えたので、それ以上頑張ることを体が拒否しているのか。
よく分からないけど、こんな感じは初めてだ。

山は暗い。
右手を並行して走る中国自動車道から時折、車の走行音が聞こえてくる。
トンネルを過ぎる。
星がきらめていた昨夜と違って、曇り空だ。
台風が近づいてきているので、風が湿気ている。
なんとか天候が持ってくれるといいのだけど。

登坂車線が表れる。
自転車乗りで登坂車線が好きな人は少ないのではないか。
だって坂がきつくなるんだもん。
eTrexさんが▲のピーク印を表示している。
そろそろ標高約260メートルのピークだ。
ただ、この峠は登坂車線が始まってからが長い。
最後の最後に斜度も増す。
いやな峠やなあ。
しばらく我慢が続く。
ようやくピークだ。
一息入れる間もなく下り始める。
4キロのダウンヒル。
あっという間に位置エネルギーを消費する。
平野をしばし、走る。
午後10時55分、401.5キロ地点のPC3ローソン徳地堀店に到着した。
こんな写真しか・・・


つづく。

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